ページ

2014年4月24日木曜日

IT資産価値研究会(第11回)

【開催概要】
  • 日時:2014年5月12日(月) 18:30~20:30
  • 場所:新日鐵住金ソリューションズ株式会社(NBF新川ビル<東館>) 会議室
  • 議題:今後の研究の方向性~価値とは?~(竹政氏)
       :中小企業のクラウド投資における意思決定の新たな視点(野村氏)
  • 参加者:松島、向、竹政、河田、石井、野村(敬称略)

【討議内容】 
  •  価値(顧客価値、経営者視点の価値、交換価値、使用価値)について

 【討議内容まとめ(一般社団法人クラウドサービス推進機構 代表理事 松島氏)】
  1. 価値は本来的には主観的なものであるが、経済、経営においては、経済的価値、財務的価値を表現せざるを得ない局面が少なくない
  2. 経済的として、一番、わかりやすく数値化可能なものが交換価値である
  3. 資源ベースの理論においては、交換が困難なもの、模倣困難なもの、経路依存性など、いわば、一般に経済的価値として表記されにくいものを戦略的価値があると規定した
  4. その会社でしか価値のない会社特殊(company specific)な資源は、交換価値をもつものではなく、使用価値が中心である。その数値化は、本質的に困難である
  5. 私たちはIT投資評価において、できる限り数値化を試みることで経営者の意思決定に役立つ情報を提供することが重要な使命であると思い込んでいたかもしれない
  6. しかし、このスピードの速い時代に、経営者は、このような精緻な情報を求めているのだろうか
  7. ROIが、1.2の情報の精度が、1.23になったところで、経営者は本当に喜ぶのだろうか、意思決定に役立つと思うのだろうか
  8. 企業戦略にかかわればかかわるど、IT投資は事業戦略支援であって、事業の不確実性と表裏一体である。事業の成功確率の精度以上の精緻な情報が必要なのだろうか
  9. これまで部分最適より全体最適のほうが優先するという提唱がなされてきたが、それは、今のようなスピードが速い時代にはたしてどれだけ有効だろうか
  10. 事業部門が、自分の事業の採算性の観点から投資を決定する時に、CIOは全体最適の観点で拒否することの正当性はどこにあるのだろうか
  11. 価値は、つねに、誰かにとっての価値であり、本質的に主観的である
  12. 事業部の価値観による部分最適価値と、CIOによる全体最適的価値とはどちらが優先するという時代ではなく、割り切り、折り合いという調整的プロセスを組み入れる必要性が浮上している。それは、まさしく、私たちが長らく唱えている利害関係者間の合意作成という調整的プロセス、調整的手法と合致する
以上